一握の塵(イーヴリン・ウォー)
熱帯地方への探検隊に身を投じた中年男、本隊からはぐれて世捨て人に拾われる。
世捨て人は今は独り暮しだが、数年前まで中年男と同じような経緯でやって来た
「文明人」と暮らしていたという。
その ...
幸せ色の空(大懸朋雪)
「幸せ色の空」 大懸朋雪
物語はいわゆるディストピアもの(ユートピアの反対)で、
近未来の日本人が完全に政府の管理下の置かれた様子が書かれている。
作中では国民は皆、政府を「神」と崇め、
「神の下僕として働ける毎日」に心か ...
大いなる助走(筒井康隆)
主人公は大企業に勤めるイケメンエリートで趣味は小説を書く事。
地域の文芸サークルに入り自分の会社や日常をネタに使った
社会派処女作小説が全国クラスの賞をとり、直木賞候補にあがる。
一躍時の人となる主人公だが、会社からはその小説が自社をモデルにし ...
青の魔性(森村誠一)
若い小学校教師のAは自分の担任しているクラス(6年)の生徒である、B子の事が気になっていた。
B子は美貌の少女だが、精神年齢が高過ぎるせいかクラスから浮き気味で、
特に女子のあるグループから陰湿な嫌がらせを受けている様だが、 ...
インビジブルレイン(誉田哲也)
主人公は姫川という女性警察官。
竹内結子主演でドラマ化された『ストロベリーナイト』と同じシリーズだが、
主要な登場人物が一緒というだけで『ストロベリー~』と内容的につながりはない。
この作品の、脇役だが事件の真相に大きく関わる人物(A)の人生が ...
Nのために(湊かなえ)
母の父(祖父)が経営していた会社を主人公の父が受け継ぎ、
軌道に乗っていた。田舎町では「お城」と呼ばれるような家に住んでいた。
しかし突然父が「自分の家系は短命の家系なので、自分もきっとそうだ。
だから余生くらいは家族のた ...
青ひげと鬼(小松左京)
妊婦が夫を猟奇的に殺した事件。
診断した医師は、彼女を極めて強固な意志を持つ正常人だと断言した。
「弁護士さん、あなたは法の番人の一人として、自然を裁けますか?」
純子が後に夫となる男性に遇ったのは、親友と二人で入ったホテルのバーだった。
彼は強靭でしな ...
一年半待て(松本清張)
記憶だけで書く。名前は適当。
人妻が夫を殺す事件があった。
夫は長いこと無職で、犯人の花子が生命保険の外交までして家計を支えていた。
夫はたびたび花子に暴力を振るい、花子の友人である稲子(飲食店経営=縄のれんのおかみさん)と浮気していた。
浮気と暴力に耐え兼 ...
厭な小説(京極夏彦)
京極夏彦の「厭な小説」を数ヶ月程前に読んだので、
その中でも個人的に最も厭だった話の「厭な彼女」を紹介させて頂きます。
文章力が無いので読みづらいかもしれませんが、どうかご勘弁を。
厭だ―― 主人公の郡山は、ある日先輩の深 ...
お玉熱演(筒井康隆)
お玉は歌手志望のブス。芸能学校に通いながら、パチンコ屋で働く。
四畳半のアパートで南京豆をかじりながらテレビを見て、
「なんやあの音痴。アテ(私)のがよっぽど歌えるで」
と愚痴るのが唯一の娯楽。
ある日、テレビ局スタッフを名乗る男が訪れる。 ...