最後の花束(乃南アサ)
「私」は小さな花屋を経営している平凡な女。
最近恋人からプロポーズされ、快諾した。
ある日小包が届いた。
中身は『素敵なあなたに』とメッセージカードがついた、趣味の悪いカフスボタン。
婚約者に訊ねてみたが、差出人にもカードの筆跡にも心当たりがないと首をかしげる。 ...
ポカホンタス
主人公の白人は英国人で北米に派遣されてきた入植者であり海軍軍人
入植地では近郊のインディアン達との諍いが絶えず、
調査に赴いた主人公たちは彼らに襲われる。
ただ一人生き残った主人公は酋長の前に引きずり出され、
殺さ ...
弱小国
「国は、まるで人間の人生のようだ。
強い国は、その力を脅かされる恐怖こそあれ
おおむね安寧に国家を維持できる。
しかし弱小国は、国家を維持するため手段を選んでいられない。
古代より歴史のうちで、小さな国が生き残るためには
戦 ...
フレンチドレッシング(村上政彦)
とある小さなフレンチレストラン、料理が絶品でオーナーシェフもイケメンなので繁盛していた。
ある時からシェフの顔色が悪くなり、厨房から怒号が聞こえるようになってしばらくして閉店、
シェフはその後病死した。
死因はエイズで、シェフはサラダドレッシングに ...
赤い月(なかにし礼)
満州で造り酒屋で成功した主人公一家は
終戦とそれに伴うソ連の進攻で帰国する事になる
長年勤めた使用人たちは自分達の意思で残るんだけど、
主人公一家が引き上げた直後
現地の中国人使用人たちに惨殺されてしまった。
映画だと日 ...
西部戦線異状なし(E.M. レマルク)
1915年、ドイツでは戦場へ向かう兵士の列に民衆が手を振っていた。
学校でも教授が愛国心を説き、英雄になるよう学生達に戦場へ行くよう熱弁する。
戦場での栄光を夢見たパウル(映画版ではポール)やクラスメイトはこぞって軍に志願した。
軍では ...
お願い(ロアルド・ダール)
小さな男の子が大階段の踊り場から玄関ホールを見下ろしている。
広いホールは赤黄黒の三色の抽象柄の絨毯が敷いてある。
(ぼく知ってるよ、赤いところは石炭が真っ赤に燃えてるんだ。黒いところはご本で見た毒蛇の群なんだ)
(黄色いところだけ踏んであっちまで行 ...
日記帳(江戸川乱歩)
内気でプライドの高い青年が病死した。
兄が遺品の日記帳をめくって故人を偲んでいると、
弟は遠縁の美しい娘、雪枝さんに時々手紙を出していた事がわかった。
おや、と思って手文庫を探ると、
雪枝さんからの絵葉書が大切に紙に包まれて、一番下に安置されている。
文面 ...
私は誰でしょう(石川さつき)
「わたしは誰でしょう」
私は職場の休憩時間にちょっとふざけてみた。
同僚は戸惑ったように顔を見合わせてから、
何言ってんのよ仕事に戻るわよ、と席に戻った。
「わたしは誰でしょう」
意地になって言い続けていたら上司が ...
ユリタン語四週間(式貴士)
遠い異星ユリタン星と地球の間で観光船が行き来するようになった遠い未来。
ユリタン星は自転周期の関係で太陽に一つの面すなわち「昼の国」を向けていて、
ユリタン星人はみな昼の国に住んでいる。
昼の国は気候が温暖で海も川もなく陸地ばかり、
反対側の「夜の国」は海も ...