恐ろしき錯誤(江戸川乱歩)
北川は貰い火事で妻の妙子を亡くして以来、悲しみのどん底にいた。
教師の仕事をずっと休んで、妙子の遺影を抱いては泣き、
妙子の実家が寄越した乳母に抱かれて泣く赤ん坊を見ては泣き、
しまいには妙子を死なせた犯人への復讐を考え始めた。
火事の晩、北川は赤ん坊を抱き ...
捨てられた子猫
捨てられた子猫が
おかあさん、おかあさん、どこにいるの?おなかすいたようと
泣いている場面から物語が始まる
偶然、近くを通りかかった女の子が子猫の鳴き声を聞き
拾って家に連れ帰る
ミルクをあげて子猫も ...
末路(星新一)
いつかビッグになってやるぜ!が口癖だが何もしない青年、
ある日芸能マネージャーに拾われてワイドショーの1コーナーに出させてもらう。
世間の矛盾やちょっとした不満をあげつらいこき下ろす台本を与えられた青年、
アドリブを交えて台本以上にうまくやった。
青年は庶民派天才毒舌芸 ...
ふたりのジョンの話(ヴァージニア・ハミルトン)
身体の大きいジョンと、小さいジョンがいた(それぞれ大男、小男)。
大男は健康な馬を、小男は病気の馬を飼っていた。
大男は小男に文句を言う
「お前の馬が夜な夜な鳴いてたまらん、今夜また鳴いたら馬を殺すぞ」
小男の馬はその夜も鳴 ...
真相(横山秀夫)
主人公は小さな会計事務所を経営している男。
昔息子(以下A)を殺人事件で失い、その犯人はいまだ捕まっていない。
主人公にとって殺されたAは自慢の息子であり、会計事務所の跡継ぎとしてとても可愛がっていた。
言えないわけ(ローレンス・ブロック)
死刑宣告を受けた男の独白から始まる。名前は忘れたのでAで。
欧米の話でAはレイプ殺人で死刑を食らう。
ある日牢で暇を持て余した彼は、被害者の兄(B)に減刑のための手紙を書こうとする。
だけど彼は途中から、その手紙にどのようにBの妹をレイプし ...
指(江戸川乱歩)
とある名のあるピアニストが暴漢に襲われ、右手首を失った。
物語の語り手である医者は、ピアニストに右手首切断のことを教えなかった。
「あ、君が世話をしてくれたのか、ありがとう」とピアニストは言った。
「何せ酔っ払っていたもので、暴漢が誰だか解らなかった。右手だね?
僕 ...
将軍が目醒めた時(筒井康隆)
ある朝、葦原金次郎が目覚めると、七十二歳の老人になっていた。
しかもカレンダーには「大正十一年」という全く知らない元号が書かれている。
実は金次郎は明治八年に発狂し、キ■ガイ病院に入れられていたのだ。
キチ■イ病院で葦原は将軍を自称し、狂人代表とし ...
原始共産制(筒井康隆)
昭和四十四年一月十九日。東京大学、安田講堂は落ちなかった。
二十日にも落ちなかった。次の日も、その次の日も落ちなかった。
政府は学生たちが講堂から出てこないので、ついに東大の封鎖を命じた。
赤門・正門をはじめ、東大のあら ...
クリスマスの前夜(ロバート・ブロック)
主人公は売れない画家、肖像画で食い繋いでいる。
名士夫人の肖像画を依頼されて高級住宅街の屋敷に出向くと、
外人夫と年下の美しい白人妻が出迎えた。
肖像画のために毎日のように出向く画家に、美人妻は急接近。
田舎の高校の美人コンテストで一等になっ ...