月澹荘綺譚(三島由紀夫)
O侯爵はS町の風光明媚な岬に月澹荘という別荘を持っていた。
別荘番の息子の勝造少年は、嫡男の若君の遊び相手という大役を仰せつかった。
漁師の息子である勝造にとって、若君は不思議な少年だった。
どんな遊びも勝造にやらせ、決して手を汚さず、大きな澄んだ目でじっと見るだけだっ ...
美神(三島由紀夫)
考古学者R博士は死の床についている。
美術愛好家のN医師が付き添い、献身的に看護している。
寝室には、かつてR博士が発掘した大理石のアフロディテ像が、美術館から特別に運ばれた。
死期を悟ったR博士のたっての願いだったのだ。
R博士はアフロディテ像を ...
無罪の薬(星新一)
ある組織の男Aがどこかの研究所の極秘文書かなんかを盗みに入るが運悪く警報装置に引っ掛かってしまう。
Aは予め組織から「飲むと絶対に捕まる事はない薬」を渡されており、今がその時だと薬を飲み込む。
一体どんな効果があるのか…透明になり逃げ切れるのか狭い隙間から抜け ...
花輪の海(横山秀夫)
10年前くらいに読んだからうろ覚えだし他の話とも混同してるかも。
大学に入って先輩に誘われるままに空手部に入ったが、実はめちゃくちゃ厳しい。
先輩のパシリにされ理不尽に殴られ、かといって部を辞めれは大学に居られなくなる。
合宿は地獄だった。最 ...
クラインの壷(岡嶋二人)
イプシロン・プロジェクト研究所が開発しているクライン2というゲームに
主人公上杉の応募したゲームシナリオが採用されることになった。
クライン2は膨大な時間と費用を掛けて極秘に開発されているまったく新しいゲームで、
全身裸の状態で機械の中に入ることで完璧な仮想現実の世界を ...
プルトニウムと半月(沙藤一樹)
原発が暴走して汚染地域となった「ハーフムーン」で生きる主人公をたくましく描いた作品。
ハーフムーンは、僅かな人が住んでいる他、
自殺志願者や暴走族みたいのがたむろしている世紀末な場所。
主人公には双子の妹がおり、以前は裕福に暮らしていた。 ...
山羊の首(三島由紀夫)
昭和19年の夏の日、砲台の警備兵辰三は野外で百姓娘を抱いていた。
(戦争末期の兵隊は、ちょっと粋に見える程ぐれていたのだ)
突然声も立てずにしがみついて震えた娘に促されて振り向くと、
土から生えたように置かれた山羊の生首が、辰三の行為をじっと見ていた。
工廠に徴用 ...
興信所のお仕事
興信所というと浮気調査やか交際相手・婚約者の身元調査が多いけど、
意外と企業からの依頼で横領やスパイの内部調査なんてのもあるそうだ。
そういう時は調査員がそこの社員として雇われた形にして内部調査しやすくするんだって。
で、他の人に疑われたら ...
強い刺激(ロバート・ブロック)
美人だが頭の弱いDQN女A。
DQN大学生Bにお持ち帰りされてから、ずっと同棲している。というかヒモにしている。
BたちDQNサークルの連中は、誰かの奢りで酒を飲んだり芸術家を気取ったり、
時には東洋哲学や人間の実存について真面目くさって議論する。
頭の弱 ...
あと五十日(星新一)
ある日主人公は陰気な得体の知れない男に「あと五十日ですよ」と声をかけられる。
一緒にいた同僚はそれを見れなかったらしい。
幻覚かと思う主人公は同じ人物に次の日「あと四十九日でございますよ」と言われる。
何がだ、と聞き返す主人公に男は「色々整理があるだろ ...