ロバート(スタンリイ・エリン)
六年生担当の女教師は、優等生ロバートに居残りを命じた。
彼は最近ぼんやりしている事が多いのだ。
友達と喧嘩したのか悩みでもあるのか、あなたは最近おかしい、
今日だって先生が話しかけてもぼんやり無視した、
何を考えていたのか正直に言いなさい。
...
燃え盛るアパート
あるところにひと組のカップルがいた。
とても仲が良かったのだが、ある日男性の方が亡くなってしまう。
死因は男性が住んでいるアパートが火事になり、男は逃げ遅れてしまったのだった。
女は嘆き悲しみ自殺も考えた。
そんな時、過去に戻る事ができる方法があると ...
鴨狩り(阿刀田高)
遠縁の春代はたぶん90を過ぎているだろう。
若い頃はさぞ…と思わせる凛とした顔立ちの老婆だ。
敏行が老人ホームに訪ねてゆくと、問わず語りに昔の事を話してくれる。
春代は未婚だ。
敏行はあの時代に女が独りで生活するのは大変だったろうな、と思っている。
天子様が ...
モデル・コーポ(眉村卓)
70年代に書かれた小説だ。
書かれた当時より少し未来の話。
東京は急速に近代都市として発展を遂げていた。
しかしそれは国が他の県をないがしろにしてまで都に予算を与えたからであり、
世間では反発が強まり、今日もどこかで暴動を起こした連中が ...
私たちがやったこと(レベッカ・ブラウン)
芸術家カップルがお互いに必要不可欠な存在になる為に、
片方はわざと失明しもう片方もわざと鼓膜を破る。
盲の方は聾の方に唇の動きでまわりの人の会話を伝え、
聾の方は盲の方にさりげなく声をかけてまわりの様子を伝える。
まわりの連中 ...
戦争はなかった(小松左京)
仕事がたて込み、旧制中学の同窓会に遅刻した。
急いで階段を駆け上るが、足を踏み外して壁に頭をぶつけた。
その音で顔を覗かせた旧友が、相変わらずそそっかしいなと笑った。
座敷ではもう酔っ払いが盛り上がっていた。
今回集まったのは札付きの不良や劣等生ばかり。 ...
ハッピー・リタイアメント(浅田次郎)
読んだのは結構前なんでうろ覚えだが。
主人公は定年を迎えた官僚。
官僚にしては珍しく(?)スキャンダルなどもないまま真面目に勤め上げてきたのだが、
上の命令で強制的に天下りさせられる。
天下り先の会社で同じく不本意ながら天下りしてきた官 ...
コンビニの風水本
コンビニとかでよく売ってるミニサイズに本に載ってた話
ビニール傘についてなんだけど、
よくコンビニとかで自分の買った傘が
持ってかれたりなくなったりしますよね?
そこで「私の傘が・・・もう誰よ!」と怒ったり落ち込んで ...
スイスにて(ローラン・トポール)
スイスの雪山で遭難した三人の男。一人は足に凍傷を負う。
二人は、凍傷は治らないから食っちまおうぜ、
と患部を切り取り焼いて凍傷男にも与える。
食ってから真相を知らされた凍傷男は激怒するが、
ねむい(チェーホフ)
まだ十代前半の女の子、
子守兼雑役女中として地主様のお屋敷に奉公している。
赤ん坊はよく泣く元気な子で、
奥様も他の奉公人も赤ん坊が泣くたびに女の子を厳しく責める。
一番下っ端なので、一日中こき使われて
倒れ込むよう ...