大望ある乗客(中井英夫)
郊外の寂しい道を走る夜の路線バス。乗客は五人。
うら若い人妻。
彼女は新婚時代に誘惑して筆下ろしした洗濯屋の小僧に脅迫され、口止め料の10万円を闇金から借りた。
おとなしく渡す気は勿論ない。
見違えるようにふてぶてしくなった少年だが、誘惑すればついて来 ...
蝿(横光利一)
舞台は戦前。山奥の田舎町の茶店に、乗り合い馬車が停まっている。
時間になると、御者は茶店の婆さんから蒸したての饅頭の包みを受けとり、馬車を出発させる。
空はよく晴れている。馬車の客には、駈け落ちらしい若いカップルがいる。
馬には一匹の蝿が付きまとう。
奉教人の死(芥川龍之介)
昔の長崎、あるキリスト教会に「ろおれんぞ」(洗礼名、今でいう「ロレンス」かな)という美少年がいた。
元々はクリスマスの夜に教会の前で行き倒れになっていた少年で、出身は「天の国」、父は「神」と笑ってはぐらかし
分かるのは親の代からの熱心なキリスト教徒であろう ...
一握の塵(イーヴリン・ウォー)
熱帯地方への探検隊に身を投じた中年男、本隊からはぐれて世捨て人に拾われる。
世捨て人は今は独り暮しだが、数年前まで中年男と同じような経緯でやって来た
「文明人」と暮らしていたという。
その ...
水曜日(吉田知子)
ある所に一人暮らしの金持ちの老女がいた。
(後家さんで、確か住み込みの家政婦が暇をとったので一人暮らしになった。うろ覚えだが)
出入りの銀行員に、聞き分けのいい従順な使用人はいないかしら、と持ち掛けると、
仕事を馘首になってふ ...
新世界より(貴志祐介)
深夜帯にアニメが絶賛放送中だが、続きがどうなるか気になったので原作一気読みしてみた。
以下、ネタバレ満載でお送りします。
12歳編
超能力者だけになった日本の田舎町に育った主人公・渡辺早季が、学校の仲間達とキャンプに出かけたら、
ひょんなこ ...
部族に感銘を受けた女性
記憶だけで書くから大事なイベントとか細部が違うかも知れない
主人公は文化人類学をやってる女性だったと思う。
フィールドワーク先でであったどっかの部族に感銘を受けて
将来的に彼らと暮らしたいと、その部族の風習で入れてる刺青とか入れたり ...
ハリー・ポッター/ハリー・ポッターと炎のゴブレット(J・K・ローリング)
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」に出てくる親子のエピソードが後味悪かった。
ハリポタの魔法界では有名な名家・クラウチ家親子の話。
魔法省(魔法の国の役所)に努めるクラウチ父は
有能・勤勉で知られており、次期総理大臣の ...
ドアD(山田悠介)
互いに面識の無い5人の男女がホールのような部屋で目を覚ます。
どうやら全員別々の場所から拉致されてきた模様。
ホールは唯一の出入り口のドアが頑丈に締まっていて、アナウンスが鳴り響いている。
“傷だらけで死ぬかもしれません。苦労 ...
幽霊屋敷レストラン/夢の館(松谷みよ子)
幽霊屋敷レストランより
夢の館
ある夫人がいつからか毎日同じ夢をみるようになる
その夢はある館の中を彷徨う夢で、内装や庭も夫人の好みに有っており
毎日夢をみる事が彼女の楽しみとなっていった
しばらくして夫人は夫の転勤により新し ...