寵蝶の歌(皆川博子)
明治時代、政治家の幼い一人娘みちよの視点で話は進む。
母が亡くなり、女中のおキミが後妻におさまった。
屋敷には母の妹のみどり叔母が居候している。
後妻は
「みどりさんは淫らだから油断がならないわ、いいえ子供は知らなくていい事よ」
「み ...
おもいで・ララバイ(皆川博子)
主人公夫妻は、新婚旅行で高原のペンションを訪れた。
「わざわざ外国なんかに行かなくても、日本人なんだから日本の良さを楽しまなくてはな!」
主人公は夫を愛してはいない。
それどころか、夫が死ぬ日を夢見て高額の保険を掛けている。
(海外旅行に ...
閉鎖(松本清張)
九州の閉鎖的な農村で、米農家の長男が失踪した。
晩秋、25歳の長男は供出米の代金200万円を農協で受け取って姿を消した。
死体は見つからなかったが、状況証拠から浮浪者に殺されて金を奪われ、
死体は崖下の海に投げ落とされたのだろう、という事になった。
老親 ...
柔らかい手(篠田節子)
有名な冒険家兼写真家が、撮影中の事故で寝たきりになった。
気がつくと見知らぬ部屋に寝かされていて、
声はほとんど出ないし手がわずかにしか動かない(うろ覚え)
若く美しく従順な妻が献身的に面倒を見ている。
不自由な口で訊ねる ...
形見の万年筆(池田宣政)
主人公の女性がドイツに旅行に出掛けた時、(※状況をよく覚えてない)
万年筆を現地の少年に貸したまま返しそびれてしまう
数ヶ月後、日本にいた主人公の元に万年筆が届いたがボロボロで、
手紙と写真が同封されていた
写真は紛れ ...
二人の未亡人(横溝正史)
へぼ詩人A男は娑婆より刑務所ですごした年数の方が多い累犯者。
何度目かの入獄の時、女房は一人息子A太郎を捨てて情夫と逃げた。
世間はへぼ詩人のまずい詩に注目し、
「冷酷な資本主義社会の犠牲者」A男を持ち上げ獄中記を出版した。
出所したA男は随筆や詩を書き、それ ...
えんぴつびな(長崎源之助)
ある女の子が同じクラスの男子と仲良くなって、その子から鉛筆で作ったひな人形をもらう。
でもその鉛筆のひな人形はお内裏様とお雛様しかなくて、
「今度は三人官女も作ってやるよ」って約束してくれるんだけど
その後、空襲が始まっ ...
夏の葬列(山川方夫)
それは主人公のよく知る人物によく似ていた
戦時中のこと、主人公に親切にしてくれるお姉さん的存在の女性がいた
ある日主人公がひとりでいる時に敵軍の飛行機がやってきた
とっさに身を屈めた時、その女の子が主人公を庇うように覆い被さっ ...
恐怖体験談の本
体験者に取材し、語って貰った話を文字にして出版、というよくある形式。
その体験談の一つで、体験者のA子さんが恐山に旅行して、
婆さんの霊を連れ帰ってしまった…という話。
体験者A子さん「顔の潰れた婆さんが今だに自宅に ...
萱笠(山本周五郎)
徳川家康が天下統一に向けて戦に明け暮れている時代が舞台。
武家の男性が戦で討ち死にするのはありふれた死因。
足軽長屋に暮らす女性たちが針仕事をしながらぺちゃくちゃ喋っている。
彼女たちは足軽の妻や娘・妹たちで、妻たちは「自分の夫は今回出世した」