鏡子の家(三島由紀夫)
主人公の鏡子は金持ちの家付き娘。夫は、気に入らないので追い出した。
小学生の娘は父を慕っているが、鏡子はそれを知らない。
鏡子は大の犬嫌いである。
夫は犬好きで、大型犬を飼っていた。別居の理由の一つである。
鏡子は娘を家政婦に任せっきりで ...
廃墟(筒井康隆)
最終戦争後の地球で、A&B、C&Dのカップルがどうにか生き延びていた。
月の明るい夜、AはBの華奢な体、つぶらな瞳をかわいいと思い、抱きしめた。それはCとDも同じだった。
毒の雨が降れば、四人の体は痛み、熱を出す。Cはひどい頭痛に苦しみ、大人しいDを泣きながら殴 ...
木戸の椿(澤田ふじ子)
汚物の据えた臭いが漂っているような
最下層の者達が住んでいる吹き溜まり長屋に
五歳の娘と母親が身を寄せあって暮らしていた。
母親の生家は三代前までは裕福な呉服問屋だったのが
身上を潰してしまい、それでも働き者の ...
2003年6月 空のあなたの道へ(レイ・ブラッドベリ)
火星が地球の植民地になって久しい頃、ついに黒人が火星に移民することが許された。
アメリカのとある田舎町で、白人男が女房を叱り飛ばしている。
黒人の女中が出ていく程度のことで泣くな、みっともない。というわけ。
ある粗暴な白 ...
むだ遣いの報酬(赤川次郎)
主人公は安サラリーマン。妻は節約と貯金(マイホームの頭金か?)に追われ、いつもイライラしている。
主人公の唯一の趣味は釣りだが、新しい道具も買えないし釣りに行く余裕もない。
釣り具屋の親父と釣り談義をすることで、気持ちをごまか ...
代りに泣く夜(赤川次郎)
主人公は多忙なリーマン。
帰宅しては自宅の留守電に吹き込まれた仕事の留守録を聞き
寝て起きて出社、という毎日を繰り返している。
その日もいつもどおり、帰宅と同時に録音された留守録を回した。
主人公は留守電の案内を自分の声で録音しているの ...
蟹甲癬(筒井康隆)
地球の植民惑星、クレール星で奇病が発生した。
老人の頬に、クレール星固有の生物、クレール蟹の甲羅そっくりの疥癬ができる病気である。
角質化した患部は取り外しができるまでに進行し、そこで停滞する。命に別状はない。
今や男女を問わず、幼児以外の住民皆が感染あるいは発 ...
脳喰い(小林泰三)
外宇宙を探査する宇宙船がエイリアンの襲撃を受ける。
乗組員が一人一人殺されていくが、
頭蓋骨を切り取って脳を吸い取るという形で皆殺されていく。(この辺の描写がすごく生々しい)
主人公は恋人を殺されて復習に燃えるが抵抗むなしく同様のやり方で死ぬ。 ...
ペール・ゴリオ(バルザック)
ゴリオ氏は元製麺業者。
夫人の死後、娘二人の成長だけが生き甲斐だった。
年頃になった娘に過大な持参金を与えて大貴族に嫁がせ、親の義務は終わったと称して引退した。
十分な資産を確保し、下宿屋(賄いつきアパルトマン)で楽隠居…のはずが、娘二人はた ...
彼女がその名を知らない鳥たち(沼田まほかる)
主人公は30代の女性。専業主婦というかニート。7年前に別れた彼氏のことがまだ忘れられずにいる。
主人公の内縁の夫Aは、50歳前の色黒チビで不器用・下品・過去に大手建設会社に勤めていたことだけが自慢の
下卑た関西弁の田舎者。昔の病気で、子供 ...